N・S・ハルシャの代表作《ここに演説をしに来て》には、個性溢れるキャラクターが約2000人登場します。何度見ても新しい発見があり、1日中鑑賞していても、見飽きることがありません。
《ここに演説をしに来て》(部分)
2008年
アクリル、キャンバス
182.9×182.9 cm(×6)
N・S・ハルシャは2000年代には、さまざまな人物を繰り返し描く方法を発展させます。描かれた人びとは整然と並んでいるようでありながら、表情、しぐさ、感情、衣服などいずれも異なっています。1990年代初頭、学生時代には表現主義的なスタイルでも描いていたハルシャですが、2000年代になると次第に率直な気取らない方法で人間を描くことを模索するようになります。
《ここに演説をしに来て》(部分)
2008年
アクリル、キャンバス
182.9×182.9 cm(×6)
《ここに演説をしに来て》はこの時点での集大成ともいえる野心作です。全6枚のパネルに2,000人以上の人物が描かれており、そのなかでは映画のヒーローや現代アートのスター、「いつもの」人びとなどがじつにおどろくべき多様さとともに描かれていますが、彼らが世界中どこにでもあるプラスティックの椅子に座っていることで、その場がどこであるのかは曖昧にされています。全体と部分、集団と個人、反復と差異は、この作品を制作して以降ハルシャにとってますます重要になっていきます。
《ここに演説をしに来て》
2008年
アクリル、キャンバス
182.9×182.9 cm(×6)
展示風景:「N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅」森美術館、2017年
撮影:椎木静寧
<関連リンク>
・N・S・ハルシャ展:チャーミングな旅
会期:2017年2月4日(土)-2017年6月11日(日)
・N・S・ハルシャと巡る“チャーミングな旅”作品紹介
(1)《私たちは来て、私たちは食べ、私たちは眠る》
(2)「チャーミングな国家」シリーズ
(3)《ここに演説をしに来て》
(4)《空を見つめる人びと》
(5)《ネイションズ(国家)》
(6)《レフトオーバーズ(残りもの)》
(7)《未来》
(8)《ふたたび生まれ、ふたたび死ぬ》
(9)《マタ―》