2016年9月27日(火)に、MAMCナイト(森美術館メンバーシップ・プログラム MAMCイベント)を開催しました。
あっという間に定員に達してしまった今回のMAMCナイトは、チームラボ代表の猪子寿之さんをお招きし、トークイベントを行いました。
南條史生森美術館館長が聞き手となり、「宇宙と芸術展」の出展作から最新作まで、チームラボの作品について語っていただきました。
《追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく - Light in Space》
https:www.team-lab.net/jp/w/crows_blossoming_on_collision/
現在開催中の「宇宙と芸術展」の最後に展示されているチームラボの《追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく - Light in Space》は、来館者に大変人気の作品です。
「鑑賞している人が一か所にギュッと集まると、そこに作品の視点が合うような構造になっているので、床と壁の境界がなくなり、八咫烏が描く軌跡が空間にとびでてきて、作品の中に自分が入りこんだ感覚になります。ぜひそれを体感してほしい」と、猪子さんは鑑賞方法についてコメント。
チームラボの作品といえば、今年の夏にお台場にて開催された「DMM.プラネッツ Art by teamLab」が話題になったことは記憶に新しいのではないでしょうか?会場の中にも、何人か行かれた方がいたようです。
3つ展示された作品のひとつ《Wander through the Crystal Universe》は、2015年の「六本木アートナイト」で六本木ヒルズの毛利庭園にて展示された《チームラボクリスタル花火》と同じシリーズで、LEDの無数の光の点の集合で立体物が作られています。500平米もある展示室の中に入り込んで、その世界を体感することができます。
チームラボ代表の猪子寿之さん。
《追われるカラス、追うカラスも追われるカラス、そして衝突して咲いていく - Light in Space》と、「DMM.プラネッツ Art by teamLab」のコンセプトは同じで、作品に入りこんで、作品と自分との境界がなくなっていく感覚、また他者と溶け合う感覚をテーマにしているそうです。
「普段、普通に生活をしていると、世界と自分との間には境界があります。特に都市は巨大すぎて、自分の力では変えられないし、自分と一体化したものではないから、ただの傍観者として、無関係と感じてしまう。境界があるから傍観しやすいともいえるのですが、ずっと昔、人類は森と一体化して生活をしていて、日常的に神秘的な体験をしていたと思います。
自分が世界の単なる一部でしかないという体験をすることが、現代人にとって重要なのではないかと思うのです。
境界があいまいになるのは素敵なことです。まずはアートで自分と作品との境界があいまいになる体験をして、自分を見失ってほしいです。」とお話しされました。
笑いのたえない会場の様子。
つづいて、南條館長が最新作《小さきものの中にある無限の宇宙に咲く花々》についてご説明しました。
こちらは、「KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭」で茨城県天心記念五浦美術館にて展示されていた作品で、「茨城県北芸術祭」の総合ディレクターでもある南條館長が、「和風」をテーマに新作を依頼しました。
茨城県の五浦は、19世紀末に横山大観、菱田春草とともに岡倉天心が住んでいた場所で、それを記念してつくられた美術館の中での個展ということから、天心の著した「茶の本」を読み、「日本の心は茶に宿っている」という天心の言葉から発想を得て作品を制作したそうです。茨城県天心記念五浦美術館では、その他にも7作品が展示されていました。
茶をたてた器の中に花が咲きます。
チームラボ《小さきものの中にある無限の宇宙に咲く花々》2016年
teamLab, 2016, Interactive Digital Installation
http://www.team-lab.net/jp/w/flowersbloom/
次に紹介されたのは、シリコンバレーで展示している《Light Sculpture of Flames》です。
こちらも光の点で炎を立体物として表現した作品です。
炎は立体物ですが、色が重なることによって中心が白に見え、立体物なのに平面的にみえることが不思議だと思って作った作品だそうです。
炎について熱く語る猪子さん。
その他にも、シンガポールのマリーナベイ・サンズと韓国のソウル、ロッテワールドの両方に常設で展示されている《お絵かき水族館》や、京都の下鴨神社で行われた「下鴨神社 糺の森の光の祭り Art by teamLab」で展示された《呼応する木々 - 下鴨神社 糺の森》など、多くの作品を映像と共にご紹介いただきました。
こちらに写っているのは新作で、自然にプロジェクションをした作品。猪子さんの故郷徳島県にある、大歩危小歩危渓谷の川の水面に花々が咲く《溪谷に咲く花、流れ込む滝 - 大歩危小歩危》です。
国内のみならず、いくつものプロジェクトが同時進行で展開され、国際的にめざましい活躍をしているチームラボ。本トークイベントで、その代表である猪子さんの天才的なパワーを感じていただけたのではないでしょうか。
森美術館メンバーシップ・プログラム MAMCでは、展覧会ごとにメンバー限定のギャラリーツアーや、ゲストをお迎えしてのトークイベントを開催しております。皆様のご参加をお待ちしています。
イベント会場にて記念撮影、左から椿玲子(森美術館アソシエイト・キュレーター)、猪子寿之氏(チームラボ代表)、南條史生(森美術館館長)。
文:今村亜希子(森美術館マーケティンググループ)
撮影:御厨慎一郎
<関連リンク>
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「村上隆の五百羅漢図展」でMAMCイベント開催
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会期:2016年7月30日(土)-2017年1月9日(月)