2016年4月12日(火)に、「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」のMAMCナイト(森美術館メンバーシップ・プログラムMAMCイベント)を開催。第一部にギャラリーツアー、そして第二部としてトークイベントを実施しました。
今回で5回目となる「六本木クロッシング」は、3年に一度、日本のアートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として2004年から開催してきたシリーズ展です。
ギャラリーツアー前に、本展覧会共同キュレーターの荒木より「過去の六本木クロッシングに来たことがありますか?」という質問をしたところ、多くの手があがりました。メンバーの皆さんがいつも楽しみにしてくださっていることを、大変嬉しく思います。
本展は、4人(キム・ソンジョン[アートソンジェセンターディレクター/Samusoディレクター]、小澤慶介[キュレーター/アートト]、ウー・ダークン[台北国際芸術村ディレクター]、荒木夏実[森美術館キュレーター])のキュレーターチームによって企画されており、20組のアーティストの作品で構成されています。
ギャラリーツアーは、共同キュレーターの小澤さんにも参加してもらい、荒木との掛け合いで進行しました。
毛利悠子さんの作品《From A》。昨年12月にMAMCでも鑑賞会を行った「日産アートアワード2015」で毛利さんはグランプリを受賞されました。
石川竜一《OP テレビの時代》
野村和弘さんの作品《笑う祭壇》では、作家本人に登場していただきました。この作品は、ボタンを投げて的の上に載せるゲームを含むインスタレーションです。
野村さんの「皆さんどうぞボタンを投げてみてください」の掛け声により、メンバーの皆さんがボタンを投げ始めました。大人数で一度にチャレンジすると、音やはじけ方、散らばり方など、1人1人で行う時とはまた違う雰囲気となるのは、現代アートのインスタレーションならではです。
実は、ここでは作品について直接野村さんに説明していただく予定でしたが、あまりに皆さんが熱中していたので、お話は後のトークイベントで伺うことになりました。
残念ながらギャラリーツアー中にこの「ボタン載せ」の成功者はいませんでしたが、会期中すでに12名の方が成功しています(2016年5月14日現在)。皆さんもぜひチャレンジしてみてください。
ギャラリーツアー中に「ボタン投げ」に挑戦するメンバー
松川朋奈《朝4時までは待っていて》
長谷川愛《(不)可能な子供》
第二部のトークイベントでは、初めに野村さんに朗読のパフォーマンスをしていただきました。文章を読んでいるのに、聞こえるのは野村さんが発する「の!」「の!」という音ばかり。テキストの中から「の」という文字だけを拾って声に出すこのパフォーマンスに、どのようにリアクションをとっていいのか分からない様子のメンバー。それでも、小澤さんの「今日はじわじわ野村さんという人が分かってきますから」という言葉どおりに、徐々に野村和弘ワールドに引き込まれていったようです。
昔からお知り合いのお二人。野村和弘さん(左)と小澤慶介さん(右)
「《笑う祭壇》は、ついついボタンを投げることがメインのゲームのように思われますが、実は色々な要素が隠れている」という小澤さんの説明から、なぜボタンなのか、 窓の部屋に展示されている理由、作品名の由来など、まるで謎解きの様な感覚で、2人の会話は続きました。スツールなど、作品の周りに置いている物のチョイスについて、「気を遣わないように気を遣っている。自分が気に入ってないものは置いていない。」と野村さんがお話しされたこともあり、トークを聞いた後、あらためてギャラリーに作品を観に戻られる方が多く、メンバーの皆さんの関心の高さが窺えました。
トークイベントの様子
「今日はじわじわいきますから」とトーク中に何度もおっしゃっていた小澤さん。以前から知り合いということもあり、野村さんの魅力をたっぷりとご紹介いただきました。
また、トークの中で紹介された野村さんの他の作品は、それらも展示してほしいとの声が上がるほど、興味深いものでした。
このようなかたちで、作家の新たな一面を垣間見られるのも、MAMCナイトの醍醐味です。
《笑う祭壇》の前で。小澤慶介さん(左)、野村和弘さん(中央)、荒木夏実(右)
次回のMAMCイベントは、秋頃、「KENPOKU ART 2016」鑑賞ツアーを行う予定です。詳細はまた改めてメンバーズ・エクスプレス(メンバー向けメールニュース)にてお知らせします。奮ってご参加ください。
文:今村亜希子(森美術館マーケティンググループ)
撮影:御厨慎一郎
<関連リンク>
・MAMC個人メンバーイベント開催!
「日産アートアワード2015鑑賞会」フォトレポート
・「六本木クロッシング2016展:僕の身体、あなたの声」
会期:2016年3月26日(土)-7月10日(日)