2016年2月19日(金)

「村上隆の五百羅漢図展」をこども記者たちが取材!
「こども記者が行く!新聞づくりプロジェクト」を開催しました。

2015年12月12日、「村上隆の五百羅漢図展」の関連パブリックプログラムとして、小中学生が新聞づくりに挑戦しました。展示空間に入った途端、村上隆さんの世界に包み込まれるような本展。この空間で作品の数々を味わいながらこどもたちはさまざまな活動をしました。
「新聞づくりプロジェクト」のミッションは、こどもたちが自分の目で展覧会を見て、面白いポイントを積極的に探すこと。そして、村上さんの制作活動や展覧会を支える関係者へのインタビューも行い、わかったことや感動を人に伝えることでした。

読んだ本や展覧会の感想文を書いたことはあるというこどもたち。でも、感想文と人に物事を伝える記事はどう違うのでしょう? 最初に、朝日小学生新聞、朝日中高生新聞の編集長である佐藤善一さんに、記事づくりと取材についてお話をしていただきました。


朝日小学生新聞、朝日中高生新聞編集長の佐藤善一さん

新聞記事を書くときに一番大切なことは、「情報を正確に、客観的に書くこと」です。誰が、何を、いつ、どこで、なぜ、どんな風に(5W1H)を書くという基礎を教わりました。例えば、ある作品が「面白かった」と書くなら、どうしてなのかその理由も必ず書きます。「とても大きな作品」と書くなら、より具体的に「高さ3メートルの作品」というように書く必要があるのです。人に感動を伝えるのはなかなか大変です。

早速、こどもたちは展覧会を観に行きました。会場では美術館スタッフが作品を紹介しました。こどもたちは金色に光る彫刻や、全長100メートルの巨大な作品《五百羅漢図》などを見ながら大興奮。みんなで意見を言い合い、疑問に思ったことを質問しました。たっぷりと展覧会を観たあと、村上隆さんの会社であるカイカイキキのプロデューサー、笠原ちあきさんをお迎えしました。
「お仕事で楽しいことや大変なことは何ですか?」「村上さんはどんなマンガが好きなんですか?」「普段、どんなふうに制作しているのですか?」こどもたちはいろいろな質問をしましたが、笠原さんはすべての質問に丁寧に答えてくださいました。


笠原さんにいろいろな質問に答えていただきました

午後、記事づくりを開始。今回はひとり1枚オリジナルの新聞(号外)を作ります。自分でトピックを決めて記事を書き、自分で撮った写真から掲載する1枚も選びます。「記事は一番面白いことから書くんだよ。そのほうが読む人が最後まで面白く読めるでしょう?」と佐藤編集長。村上さんの作品のどんなところを伝えるのがいいか、それぞれによく考えました。編集長から細やかなアドバイスをもらい、何度も直して文章もどんどん良くなりました。新聞社のスタッフに教わりながら、パソコンで次々にオリジナルの新聞を完成させました。


編集長に記事を見てもらっています

作業の途中、同じ時間帯に展示室内で開催していたトークセッション「日本ものづくり再考」に村上隆さんご本人が出演しているとの情報が。こども記者たちが村上さんの話を聞きに行こうと会場へ向かうと、村上さんがこども記者たちに声をかけてくださり、なんと一緒に記念写真を撮ることもできました。


村上隆さんとの記念写真!

作家本人に、こんなに近くで会えるとは思っていなかったのでみんなびっくりしました。しばらくの間、村上さんがこれまでのご自身の作品についてお話するのを聞いたのち、できあがった新聞を全員で発表してプロジェクトは終了しました。


新聞が完成しました!!

この日、さまざまなスタッフや仲間と一緒に、丸一日を森美術館で過ごしたこどもたち。「村上隆の五百羅漢図展」を新聞づくりという目的を持ってたっぷりと見たこと、カイカイキキの笠原ちあきさんに村上さんのことや実際の制作のお話を聞けたこと、村上隆さん本人にも会えたことがみんなの記憶に残ってくれることを期待しています。アートと美術館をきっかけにした学びが、好奇心旺盛なこどもたちの成長を応援するエネルギーになり、ワクワクするような日々のアクセントになることを願い、森美術館ではこれからもさまざまなプログラムを提供していきます。

*「朝日中高生新聞」(2016年1月24日号)に、参加してくれた本間遼太郎君(中1)の記事の一部が掲載されました。

文:白濱恵里子(森美術館エデュケーター)
撮影:田山達之
 

<関連リンク>

「村上隆の五百羅漢図展」
会期:2015年10月31日(土)-2016年3月6日(日)
「みずみずしい感性で展覧会を見て、考えて、話す
森美術館・横浜美術館コラボレーション中高生プログラム「アーティストと出会う」レポート」

カテゴリー:03.活動レポート
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