2014年10月31日(金)

セクション1:関係性、つながり、あいだについて考える
「リー・ミンウェイとその関係展」作品紹介(1)

現在、森美術館で開催中の「リー・ミンウェイとその関係展:参加するアート―見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる」では、参加型アートで知られるリー・ミンウェイの代表的な作品やプロジェクト15点に加え、これらを歴史的、文化的な文脈から読み解く試みとして、他のアーティスト、宗教家、思想家の作品や言葉も併せて展示しています。
本ブログでは全7回にわたって、リーの作品の一部を各セクションごとに紹介するほか、参照作品について解説します。

Section 1 関係性、つながり、あいだについて考える

最初のセクションでは、周囲の人や環境との関係性、宇宙の大いなる動きと自分の身体との関係、連綿と続く歴史など、「関係性」、「つながり」、「あいだ」に意識を向けます。ここでは、2つの作品《プロジェクト・繕う》と《プロジェクト・女媧(ヌワ)》を取り上げます。

《プロジェクト・繕う(つくろう)》


《プロジェクト・繕う(つくろう)》
2009年
展示風景:ロンバード=フレイド・プロジェクツ、ニューヨーク、2009年
ルディ・ツェン氏蔵
撮影:Anita Kan

観客が持ち込んだ衣類や布を、アーティストやホストが繕う。その間に観客とホストの間でコミュニケーションが交わされます。繕った衣類は、壁面に取り付けられたコーン巻きの糸と繋げられ、空間はカラフルなつながりのダイナミズムを生み出します。

《プロジェクト・女媧(ヌワ)》


《プロジェクト・女媧(ヌワ)》
2005年
竹、シルク、綿糸、アクリル絵具 350×112cm
撮影:Lee Studio

古代中国の天地創造の神話に登場し、裂けてしまった空を補修したとされる女神、女媧(ヌワ)をモチーフにした凧の作品です。この作品の「所有者」はすべての思い出や夢をこの凧にのせて空高く揚げ、その糸を切ることで女媧を再び天に放つのです。
 

<関連リンク>

・「リー・ミンウェイとその関係展」作品紹介
(1)関係性、つながり、あいだについて考える
(2)歩く、食べる、眠る―日々の営みを再考する
(3)パーソナルな記憶から歴史、文化、社会のつながりを考える
(4)「参照作品」を読み解く:白隠/今北洪川/鈴木大拙
(5)「参照作品」を読み解く:久松真一/イヴ・クライン/ジョン・ケージ
(6)「参照作品」を読み解く:李禹煥/アラン・カプロー/リクリット・ティラヴァニ
(7)「参照作品」を読み解く:小沢 剛/田中功起

・スペシャル対談:リー・ミンウェイ×片岡真実
(1)“参加するアート”とは?
(2)「ギフト」を贈ることもアートになる
(3)観客が参加することで、さらに豊かになるアート

「リー・ミンウェイとその関係展:
参加するアート―見る、話す、贈る、書く、食べる、そして世界とつながる」

会期:2014年9月20日(土)-2015年1月4日(日)

「MAMプロジェクト022:ヤコブ・キルケゴール」
会期:2014年9月20日(土)-2015年1月4日(日)

カテゴリー:01.MAMオピニオン
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