森美術館のWebサイト、メールマガジン、Twitterでもご案内していた、11月23日(水・祝)の1Dayトークイベント「六本木アートカレッジ」。
祝日の朝からのスタートにも関わらず、午前中に600名近くの方がご来場され、午後もどんどん人は増えて満員御礼となった会場で、アーティストの会田誠やジャーナリストの津田大介、中田英寿をはじめ、デザイナー、パフォーマー、ギャラリーオーナーなど様々なスピーカーがトークを繰り広げました。
今回は、主催したアカデミーヒルズのスタッフによる、この熱い1日のイベントレポートが届きましたので、森美術館公式ブログ読者の皆様にも早速お届けしたいと思います。参加された方も、そうでない方もぜひご覧ください!
それぞれが魅力的なテーマ、講師陣の全21講座、すべての講座をレポートしたい気持ちでいっぱいですが、ここでは大ホールで開催した3講座をピックアップしてご紹介いたします。
伊勢谷友介氏
左:片岡真実(森美術館チーフ・キュレーター) 右:伊勢谷氏
撮影:御厨慎一郎
■「人類が地球に生き残るために、どうするべきか?」伊勢谷友介×片岡真実
なぜ伊勢谷氏が「REBIRTH PROJECT(リバース・プロジェクト)」を始めたのか?
地球上の70億人が先進国のライフスタイルで生活すると、地球1つの資源では無理だ、という統計がある。であれば、我々にできることは何か?難しいことではない。一人ひとりがこの現実を知り意識することで少しずつ世界は変わっていく。もっと世界に興味を、広い視野で行動していこうというメッセージを伊勢谷氏は投げかけた。キュレーター片岡氏の視座も加わり、地球規模の問題からアートまでひとつながりにした広い視点で見た未来について思いを馳せ、自分も何かしたい、と心が動いた。
左:津田大介氏 右:会田誠氏
撮影:御厨慎一郎
■「境界を越えた表現者 ~表現者はアーティストだ!~」会田 誠×津田大介
美術家の会田氏、メディアジャーナリストの津田氏、2人はジャンルは異なるが、自分を表現するということでは共通点がある。ここでは会田氏の転機となった作品、津田氏の転機となった出来事を紹介してもらいつつ、今の表現スタイルの確立の過程を垣間見ることができた。津田氏のSNSはリアルタイム性が重要、会田氏の作品は社会の流れを追うという点で対照的であるが、既成概念にとらわれず、常に新しい表現方法を拡げていくことこそ重要だと感じられた。
中田英寿氏
左:南條史生(森美術館 館長) 中央:中田氏 右:栗林氏
撮影:御厨慎一郎
■「伝統が開く日本の未来」中田英寿×栗林 隆×南條史生(モデレーター)
中田氏が主宰する「一般財団法人TAKE ACTION FOUNDATION」が目指すもの、そして今年の「REVALUE NIPPON PROJECT」に参加したアーティスト栗林氏と南條館長が、それぞれの想いを語った。日本には素晴らしい伝統があり、それをもっと広めるべき。中田氏はそのプラットフォームを創ることを目指している。また、日本の伝統工芸を如何に現代のライフスタイルに取り入れるかも1つの課題。
アート作品の制作工程~搬入の様子まで普段見られないシーンを映像で見ることができ、中田氏の日本に対する想いが伝わる真摯な言葉と、プロジェクトに共に臨んだ3人だからこその絶妙なトークに、会場は多いに盛り上がった。
その他の会場で開催した講座も、熱心にメモを取りながら聞く受講者の姿が印象的で、その真剣さ、積極性に講師陣も大変感動し、力のこもったトークが、1日中繰り広げられました。
魅力的な講座が並んでいたので「選ぶのが大変だった!全部見たかった!」という嬉しい悲鳴(?)も聞こえてきました。でも、聞きたいものの中から1つを選ぶというのは、苦しいながらも楽しい悩みだったのではないでしょうか?!
(左上から)南條史生、竹中平蔵氏、チームラボ 猪子寿之氏、AIT 小澤慶介氏、ロジャー・マクドナルド氏
(左下から)ブックディレクター幅 允孝氏、Chim↑Pomエリィ氏、卯城竜太氏、陶芸家 青木良太氏
撮影:御厨慎一郎
幕間のライブパフォーマンスも、会場の雰囲気をグッと押し上げてくれました。
(左から)不思議でコミカルで、可愛い!155cmダンスユニット「ほうほう堂」
モーツァルトの調べに耳を傾け、癒されたひととき「サントリーホール室内楽アカデミー」
参加者の皆さん、ゲストの皆さんに盛り上げていただき、運営スタッフも一体となって創りあげた、すばらしい1日「六本木アートカレッジ」となりました。誠にありがとうございました。
混雑のなか通路に並んでいただくなど、スムーズな運営のために参加者の皆さんに多大なるご協力をいただき感謝いたします。次回開催の際には、皆さんから頂戴した声を反映し、より快適にお過ごしいただけるよう、運営面での改善もしていきたいと思います。
「六本木アートカレッジ」は、今活躍するオピニオンリーダーの発信から、興味・関心を広げ、新しい視点を得て、自分なりのこだわりのあるライフスタイルを確立することを目的として開催しました。参加された方々の既成概念を打ち破り、新たな視点獲得のきっかけとなっていましたら幸いです。
今回参加された方はぜひ次回も、残念ながら参加できなかった方は次こそ!「六本木アートカレッジ」でお会いできることを楽しみにしています。
当日の様子(左上から)受付、売店、(左下から)看板、満席の会場
撮影:御厨慎一郎 右下以外アカデミーヒルズスタッフ
文:佐野淳子(アカデミーヒルズ スタッフ)
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