2016年8月26日、「宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ」関連パブリックプログラムとして、六本木天文クラブとの2回目のコラボイベント、星のおはなしとワークショップ「天体望遠鏡をつくろう」を開催しました。
天体望遠鏡を制作する前に、森美術館スタッフと一緒に「宇宙と芸術展」を鑑賞しました。曼荼羅や竹取物語絵巻などの古美術、ダ・ヴィンチやガリレオ・ガリレイ等の歴史的な天文学資料、現代アーティストによるインスタレーション、そして最前線の宇宙開発まで、200点の作品の中からいくつかの作品を見ていきます。
展示物の中には鏡を使用した国産第一号とも言える反射望遠鏡もありました。その反射望遠鏡から見えた月や太陽の観測図も展示されていて真剣に鑑賞しています。これからつくる天体望遠鏡から星はどんなふうに見えるのだろうと、思いを巡らせているのでしょうか。
スケール感ある空間で迫力を感じる現代アートの作品では、距離や角度によって見え方が変わります。どんな素材が使われているのかが、わかるくらい近づいて見たりしました。
鑑賞の後は、天文学普及プロジェクト「天プラ」のスタッフとの天体望遠鏡づくりです。「天プラ」のスタッフのひとり、土屋智恵さんが丁寧につくり方を説明してくれました。
望遠鏡は今から400年前くらいに発明されたものだそうで、これからつくる望遠鏡は、ガリレオ・ガリレイがつくった望遠鏡と同じくらいの見え方(倍率)の本格的な天体望遠鏡だと教えてもらいました。
ガリレオ・ガリレイが観察して発見した木星の衛星(ガリレオ衛星)、土星の環や月のクレーターも見ることができると聞いて気持ちが高まります。
望遠鏡キットの中にはたくさんの部品が入っています。そっと開けて、まず中身のチェックを行います。白い筒、黒い筒、茶色い筒など、筒が8個もあるので、しっかり確認します。
確認ができたら、実際につくっていきます。セロハンテープを筒に巻いて太さを調整したり、ボンドで筒を固定したり、筒の間に大切なレンズを入れる作業など、土屋さんのお話をしっかり聞きながら、集中力が途切れることなく丁寧に仕上げていきます。
今回は六本木ヒルズ森タワー屋上 スカイデッキに上がるため、身の回り品の飛散など、万が一の危険を防止するためにネックストラップを望遠鏡につけて完成です。
望遠鏡ができあがると、土屋さんが望遠鏡を使うときに、絶対見てはいけないもの2つを教えてくれました。1つ目は、太陽。太陽の光はとても強く、目を傷つけてしまうからだそうです。
2つ目は、人の家の中だそうです。公園などでも、他の人から家の中を見ていると勘違いされないようにすることも必要だと教えてくれました。
また、これから見る空の時間にあわせて、国立天文台 天文情報センターの「8月中旬21時に見える東京の星空」の星図をプリントしたものが配られ、土屋さんはさらに星図の見方や星のお話しをしてくれました。この日に見える可能性がある火星や土星は、さそり座のアンタレスという星の近くで見えるようです。星の情報を覚えたら、スカイデッキに向かいます。
スカイデッキでは、東京タワーなどを目印に、星の場所を分かりやすく「天プラ」スタッフが説明してくれたので、土星や赤く光る火星、その近くに光るさそり座のアンタレスなど、はっきりと肉眼でみることができました。
この後は、待ちに待った望遠鏡のピント合わせの時間です。レンズの上にある細い筒(ファインダー)を使って星の位置合わせをして、星を見ていきます。望遠鏡は手で持つと振動が伝わって少し見にくいのですが、いつもより大きい星が見えると嬉しそうな声が聞こえてきます。実際にピントが合うというのは、どのような見え方なのかを三脚につけた望遠鏡でも確認しました。
実際に土星の輪が少し見えた方もいたようです。
思い思いに自分でつくった望遠鏡で星空を眺め、楽しい夜をしめくくりました。
本日つくった望遠鏡で、今後の11月14日の2016年最大の満月など、日々の夜空を見る機会が増えるといいですね。
今回、一緒にプログラムを行った六本木天文クラブは、毎月第4金曜日に星空のイベントを開催しています。
詳しくは、こちらをご確認ください。
夏休みは終わってしまいましたが、小・中学生のみなさんには、展覧会を鑑賞するときのサポートツールとして、「キッズ・ミッション・パスポート」を配布しています。いくつかの展示作品のミッションをすべてクリアすると、会場入口カウンターでとても素敵なミッションステッカーをお渡ししています。ご来館の際には、是非ご参加ください。「宇宙と芸術展」は2017年1月9日(月・祝)まで開催しています。
文:横山佳世子(森美術館パブリックプログラム)
撮影:御厨慎一郎
<関連リンク>
・宇宙と芸術展:かぐや姫、ダ・ヴィンチ、チームラボ
会期:2016年7月30日(土)-2017年1月9日(月)
・さまざまな視点から「宇宙と芸術展」と星空をみてみよう!
小中学生プログラム「サマーナイト・ミュージアム」レポート
・【Flicker】「宇宙と芸術展」関連プログラム
「森美術館×六本木天文クラブ」コラボレーション 小中学生プログラム
星のおはなしとワークショップ「天体望遠鏡をつくろう」