9月15日(火)に、森美術館メンバーシップ・プログラム MAMC メンバー向けイベントとして、「ディン・Q・レ展:明日への記憶」 MAMCナイトを開催しました。
当日の模様をフォトレポート形式でお届けします。
まず第一部では、「ディン・Q・レ展:明日への記憶」担当キュレーター荒木夏実によるギャラリーツアーを行いました。
展示室に入る前に、ディン・Q・レはベトナムで生まれ、10歳の時に家族で国を逃れ、アメリカへ移住したという、生い立ちからお話しました。
「巻物」シリーズ《ティック・クアン・ドック》と《ファン・ティー・キム・フック》は50mあるフォトロール紙をまるまる1本使った作品です。
ディン・Q・レが学生時代、カリフォルニア大学サンタバーバラ校に在籍していた際に制作した作品は、当時、キャンパスや街中に作品を貼り、本人の手元には残っていなかったのですが、先生が意義のある作品と思い、現在まで保管して下さっていたそうです。
ディン・Q・レが学生時代に制作した作品《ベトナム戦争のポスター》
移民や難民をイメージした作品《抹消》にて、ディン・Q・レがベトナムの骨董店で手に入れた写真を手にとるメンバー
《人生は演じること》は、日本で撮影した新作です。戦争の再演を趣味にしている日本人にフォーカスした作品で、現在アーティストとして活躍している藤井光氏がシネマトグラファーとして撮影したものです。
新作《人生は演じること》
フランスの植民地時代にベトナムで使用していた家具を使った作品《バリケード》
第二部のトークイベントでは、ディン・Q・レにメンバーからの質問に答えていただきました。
今回は、初めての試みとして、ギャラリーツアー中にメンバーの皆さんに作家への質問を考えていただき、鑑賞後、質問用紙に記入して提出してもらいました。直接面と向かっては質問しにくいことも、今回は記入式だったので質問がしやすかったと好評でした。
メンバーの皆さんに、ギャラリーツアー中にディン・Q・レへの質問を考えていただきました。
実際に作品に接すると、疑問が浮かんだり、作家の思いを聞いてみたくなりますよね?
メンバーの皆さんには現代アートならではの楽しみ方を実感していただけたのではないでしょうか。
ここで、質問をひとつだけご紹介します。
《抹消》より
Q. ディンさんはお知り合いの写真をみつけましたか?また写真をなぜ裏返して展示しているですか?
A. 残念ながら、私の家族の写真はまだ見つかっていませんが、家族の写真を見つけられた方や、カタログに載せた写真から自分が9歳の時の写真を見つけた方がいらっしゃいます。
たくさんの人、特に海外に住むベトナム人に写真のアーカイブにアクセスしてもらい、家族の写真を見つけてほしいなと思っています。
また、写真を裏返しているのは、積極的にかがみこんで写真を手に取って見てほしい、そして、1対1の個別の体験として写真と関わりを持ってほしいと思ったからです。
トークイベントの様子
メンバー限定イベントということもあり、キュレーターの荒木から、普段のイベントでは話さない内容が飛び出す場面もありました。特にディン・Q・レとの新作撮影秘話は盛り上がっていました。皆さんには貴重な話をお伝えできたのではないでしょうか。
荒木夏実(左)とディン・Q・レ(右)
次回のMAMCナイトは、「村上隆の五百羅漢図展」です。少し先となりますが、来年の2016年2月16日を予定しております。
詳細は改めて、メールニュースにてお届けいたします。お楽しみに!
文:今村亜希子(森美術館マーケティンググループ)
撮影:御厨慎一郎
<関連リンク>
・森美術館
「ディン・Q・レ展:明日への記憶」
会期:2015年7月25日(土)-10月12日(月・祝)
・大地の芸術祭を南條館長と巡る!
MAMCメンバー限定イベント フォトレポート
「越後妻有アートトリエンナーレ2015ツアー」