“冷涼”アート鑑賞のススメ@「地球がまわる音を聴く」展
2022.8.26(金)
真夏のピークが去ったとはいえ、気象庁の1カ月予報によれば、まだまだ厳しい残暑は続きそうです。夏の疲れも出てくるころ、都心のクールスポット、森美術館でゆっくりアート鑑賞はいかがでしょうか。
温湿度管理の行き届いた快適な環境で、ココロもカラダもクールダウン。五感を解放し、作品から漂う香りや、壮大なスケール感を、展示室で実際に体感してみませんか。「地球がまわる音を聴く」展では、インスタレーション、彫刻、映像、写真、絵画など、国内外のアーティスト16名による多彩な作品をご覧いただけます。今回はそのなかから一部の作品をご紹介します。
ヴォルフガング・ライプ
黄色い花粉を長方形に敷き詰めたインスタレーション《ヘーゼルナッツの花粉》(2015-2018年)。作家が住むドイツ南部の村で数年かけて採取したヘーゼルナッツの花粉からは、ほのかに甘い香りが漂います。また、蜜蝋や牛乳といった自然素材を使った作品も紹介。そのシンプルな美しさと瞑想的な表現は、自然界の生命の循環から壮大な宇宙の営みまでを想像させます。
ギド・ファン・デア・ウェルヴェ
作家自ら北極点に立ち、24時間かけて地球の自転と反対方向に回り続けるパフォーマンスをタイムラプスで記録した映像作品《第9番 世界と一緒に回らなかった日》(2007年)。このほか、自宅の外周を12時間、距離にして約100km走破するというパフォーマンスを記録した作品など、「立つ」「回る」「走る」といった日常的な行為を非日常的なスケールで描くことで、その行為自体が壮大な営みになることを表現しています。
堀尾貞治
アトリエに置かれたさまざまなものに、1日1色絵具を塗る「色塗り」シリーズ(1985-2018年)。亡くなるまでの33年間、毎日欠かさず作り続けた作品です。同様に、1分間で画用紙10枚に凄まじい勢いでドローイングを描くシリーズも、日課としていました。展示室の壁一面を覆うこれらの作品は、色彩と躍動感、エネルギーに満ち溢れています。生きることがアートであった堀尾の作品群は、生きることそのものの豊かさを伝えてくれます。
展覧会の展示風景をFlickrで公開しています。あわせてご覧ください。
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