「レアンドロ・エルリッヒ展」作品紹介#4《試着室》&《エレベーター》
2018.3.6(火)
《試着室》
豪華な試着室の中に入ると、前面にも両側にも姿見が設置されています。そして、自分を映すはずの鏡の向こうに幾つもの試着室が続いています。その横の試着室に入るとさらに別の試着室へと続いていたり、時には自分自身が幾つもの鏡を介した一番奥の鏡に映っていたりします。さらには、試着室の鏡の向こうに突然人が現れるなど、見知らぬ人に遭遇することもあるかもしれません。こうして試着室は鏡の向こうの迷路のように増幅して行きます。ルイス・キャロルの『鏡の国のアリス』で主人公が鏡の向こう側に迷い込み、鏡のこちら側とあちら側、自分と他者の区別がつかなくなったかのように、30もの試着室が織りなす迷路の中で私たちは迷うこととなります。
《エレベーター》
エレベーターの内と外が反転されている。本展のために再制作され、日本製メーカーのボタンが使用されています。最初に制作されたのは、1995年、ブエノスアイレスのフランス大使館が主催した「ブラック賞」に参加した時で、「展覧会場のエレベーターに入ることが条件」という規定に着想をえて制作されました。本作で、エルリッヒは、創造や制作に対する制約への強い苛立ちを表現すると同時に、その苛立ちを新たな創造性へと転換したのでした。
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