「レアンドロ・エルリッヒ展」作品紹介#3《隣人》&《失われた庭》
2018.2.27(火)
《隣人》
両面にドアがある立体作品で、ドアには各々覗き穴がついています。外部にいる訪問者を確認する覗き穴からは、マンションの廊下と隣人のドアが見えます。そこには「無いはずの空間」が立ち現れているのです。
本作は、エルリッヒが初めて「親密性」や「疎外感」といった主題を扱った作品で、その風景が日常的であるがゆえに、私たちはそれぞれの物語を想像し、そこに投影せずにはいられなくなるのです。
《失われた庭》
展示室内の仮設壁にある窓からは、青々とした観葉植物が見えます。窓辺に立つと、その植物が密集する坪庭の向こう側の窓から、隣にいるはずの観客がこちらを眺めており、自分自身は対角線上からこちらを眺めています。小さな坪庭を介した不思議な体験が味わえる本作では、鑑賞者は鏡像によって実際には存在しない空間を認識しています。すなわち、そこには無いはずの庭があり、鏡像でできた庭は、物理的世界では失われた庭―アダムとイブの楽園―とも言えるのです。
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