アージェント・トーク023:
国際的同時性:60年代日本を世界美術史に着地させるために
日本語のみ
「アージェント・トーク023」では、「具体」や「もの派」など近年改めて国際的に高い関心を向けられている日本の美術動向や、森美術館の理念のひとつでもある「国際性」といった観点から、60年代の日本の美術をグローバルな文脈から再考します。キーワードは「国際的同時性」。ニューヨーク在住の美術史家、富井玲子さんをお迎えします。
出演者の言葉
「国際的同時性」は1960年代の日本に由来する概念で、美術批評家の宮川淳や針生一郎が使っていました。周縁に位置する日本から中心を見る遅延の視線がその背景にあり、ローカルな概念ではあります。しかし、現在の緊急課題である世界美術史の構築を考えるとき、実は重要な提案を含んでいます。事実として考えれば、具体も反芸術も非芸術(もの派、コンセプチュアリズム)も世界標準の動向であり、さらには先駆性をも考察すべきですが、現在のグローバルな美術史の言説の中で定位置を確保しているとは言いがたい状況です。国際的同時性をGeohistorical(地史的)に解釈敷衍し、60年代美術を真にグローバルに考えるための方法論を探ります。
- 日時
- 2014年6月10日(火)19:00~20:30(受付開始 18:30)
- 出演
- 富井玲子(美術史家、ポンジャ現懇主宰)
- プロフィール
- 富井玲子
ニューヨーク在住。大阪大学で修士課程を終了後、テキサス大学オースティン校で博士号取得。共同企画展に「グローバル・コンセプチュアリズム」(クイーンズ美術館、1999年)、「センチュリー・シティー」(テート・モダン、2001年)、「シノハラ・ポップス!」(ドースキー美術館、2012年)など。日本語共著に『戦後美術と美術批評』(ブリュッケ、2007年)。単著『荒野のラジカリズム:国際的同時性と60年代日本の美術』を英文で執筆中(MITより出版予定)。「ポンジャ現懇」主宰。