アージェント・トーク026:
ベルリン―社会と生活にアートが根ざす街
日本語のみ
キオスクの小さなスーパーにも、子ども向けの本やゴシップ週刊誌とともにアート雑誌が並び、新聞紙上では大きくアート欄が割かれています。休日の美術館はにぎわい、いくつものギャラリーのイベントが重なれば、まるでその周辺の道路が歩行者天国になったかのように人が集まってくる。アートを体験すること、アートを通して社会を見よう、想像しよう、考えようということが、この街では何ら特別なことではないように見受けられます。
アーティスト主導型のプロジェクトスペースが多く見られた2000年代半ば、金融危機のただなかだからこそ、何かクリエイティブなことができるのではないかと立ち上がった若手ギャラリストたちが奔走したのが、2000年代後半から10年代のはじめでした。
1996年にはじまったアートフェア、アート・フォーラム・ベルリンの撤退と、新たなフェアの出現、そこにうごめくギャラリストたちの思惑と駆け引き。ここ数年、ベルリンでは閉廊する主要ギャラリーのニュースも絶えませんが、もともと資本主義的な華やかさには欠け、「ビジネス」よりも生活の質と、政治や社会問題に関心を寄せる人々が多いこの街で、アートマーケットから距離を置く、新たなシステムの構築も期待されています。
2004年からのベルリンのアートの動向を、アートスペースや展覧会、ベルリンを拠点に活動する作家などを紹介しながら振り返り、「貧しいけれどセクシー」(市長のクラウス・ヴォーヴェライトがベルリンを表現した言葉)な街が育むアートとその周辺への影響について考えてみたいと思います。
- 日時
- 2014年11月4日(火)19:00~20:30(受付開始 18:30)
- 出演
- かないみき(アート・ジャーナリスト)
- プロフィール
- かないみき
アート・ジャーナリスト。2004年からベルリンを拠点に、『美術手帖』『芸術新潮』などの日本のメディアを中心に執筆。展覧会のコーディネートや作家のアシスタントを務める。