第14回目となる本プログラムでは、シプリアン・ガイヤール(1980年パリ生まれ、ベルリン在住)の映像作品を紹介します。ガイヤールは、映画、ビデオ、写真、コラージュ、インスタレーション、パフォーマンスなど、さまざまなメディアを使って作品を制作してきました。2010年に「マルセル・デュシャン賞」、そして2011年に「若手アーティストのための国立美術館賞」を受賞、クンストヴェルケ現代美術センター(KW)での個展「リカバリー・オブ・ディスカバリー」(ベルリン、2011年)などで注目を集め、国際的に活躍してきました。日本でもあいちトリエンナーレ2010、森美術館「フレンチ・ウィンドウ展」(2011年)に参加しています。今回は、その活動のなかから映像作品に焦点を当て、選りすぐりの6作品を上映します。
ガイヤールは、文明を自然というより大きな存在と対峙させ、植民地主義や資本主義が周縁にある文化を消費していく様子を批評的に分析します。さらには自然や時間という抗いようのない存在のなかで建築や都市が崩壊していく様子を、死や廃墟の美などをテーマに多様な手法で表現します。こうした視点は、ウィズコロナの時代において、さまざまな問題を抱えて生きる私たちに文明や社会について考えるきっかけを与えてくれるのではないでしょうか。
上映作品
1 《湖のアーチ》 2007年 1分39秒
2 《海から海へ(オーシャン2オーシャン)》 2019年 10分56秒
3 《黄金と鏡の都市》 2009年 8分52秒
4 《虚構戦争の本当の残党 5》 2004年 7分39秒
5 《デスニャンスキー地区》 2007年 30分
6 《KOE》 2015年 4分17秒
全体約65分で、下記の時間より上映を開始いたします。
10:00、11:05、12:11、13:16、14:22、15:27、16:33、17:38、18:44、19:49、20:55(火曜日は17:00閉館です)
シプリアン・ガイヤール
主な個展に、クンストヴェルケ現代美術センター(KW)(ベルリン、2011年)、ポンピドゥー・センター(パリ、2011年)、MoMA PS1(ニューヨーク、2013年)、ユリア・シュトシェック・コレクション(デュッセルドルフ、2015年)、K20(デュッセルドルフ、2016年)、Tank上海(2019年)など。このほか、第5回ベルリン・ビエンナーレ(ベルリン、2008年)、第8回光州ビエンナーレ(韓国、2010年)、第13回リヨン・ビエンナーレ(フランス、2015年)、クリーブランド現代美術トリエンナーレ(アメリカ、2018年)、第54回、58回ベネチア・ビエンナーレ(2011年、2019年)などの国際展にも参加。