シュウ・ジャウェイは、アジア各地の歴史のなかで、正史とされる歴史からは読み取れない複雑な物語を、美しい映像作品やインスタレーションに描き出してきました。綿密なリサーチに基づいたそれらの物語は、政治的、社会的な時代の荒波に翻弄された個人史や、語られて来なかった歴史の断片を明らかにします。本スクリーニングでは、日本統治時代の台湾総督府工業研究所に秘められた物語や、冷戦時代のタイとビルマの国境近い村で、諜報員や孤児院の代表、牧師など複数の人生を演じてきた男の物語などが語られます。シュウは産業化、都市化、当事者の高齢化などによって失われていく地域の記憶や散在する資料を集め、この世界の複雑さや多様さ、記憶の不確定さなどを私たちに意識させてくれるのです。
上映作品
A.《ドローン、ヒナコウモリ、故人たちの証言》 2017年 3分40秒-8分40秒
※本作品では19件の口述記録がコンピュータによってランダムに操作されて上映されるため、毎回上映時間が異なります。
B.《高砂》 2017年 9分20秒
C.《核崩壊タイマー》 2017年 8分40秒
D.《回莫村(ホェイモ村)》 2012年 8分20秒
E.《諜報局の廃墟》 2015年 13分30秒
※当プログラムは約55分で、毎時00分から上映を開始いたします。(火曜日は17:00閉館のため、17:00以降の上映はありません。)
10:00、11:00、12:00、13:00、14:00、15:00、16:00、17:00、18:00、19:00、20:00、21:00
※プログラムは、作品をA→B→C→A→D→Eの順で上映します。
シュウ・ジャウェイ(許家維)
1983年台中生まれ。国立台湾芸術大学卒業。2014~2016年にはフランスのル・フレノア:国立現代アートスタジオで本格的に映画技術を学ぶ。ヒューゴ・ボス・アジア・アート賞ファイナリスト(2013年)、第15回台新芸術賞グランプリ受賞(2017年)。