1960年代、アメリカは激動の時代を迎えました。人種差別撤廃を目的とした公民権運動やベトナム戦争に反対する抗議運動が全米各地に広がり、アメリカの社会と政治に蔓延する不平等、抑圧、不公正に対する異議を唱える声が高まりました。当時、カルフォルニア大学バークレー校の学生だったユウジ・イチオカとエマ・ジーは、人種と民族の垣根を越えて展開するこれらの社会運動に新たな連帯の力を見出し、1968年に「アジア系アメリカ人」という言葉を提唱。それまで日系、中国系、フィリピン系、韓国系など、個別のルーツと国の名の下で活動していたアジア系のグループは新たなアイデンティティをとおして団結し、ともに政治的立場や権利を主張したのです。彼らは、同じアジア系マイノリティとして経験してきた移民排斥や人種差別などの記憶を共有しながら、「アジア系アメリカ人運動」と呼ばれる汎アジア主義の社会運動を展開しました。
「MAMリサーチ009:正義をもとめて―アジア系アメリカ人の芸術運動」では、1960年以降に実践されたアジア系のアーティスト、音楽家、活動家や芸術団体の多岐にわたる文化活動、および近年の作品やプロジェクトを紹介します。主要都市であるロサンゼルス、サンフランシスコ、シカゴ、フィラデルフィア、ニューヨークに焦点を当てながら、アートがいかに人種差別に立ち向かい、コミュニティに力を与え、過去から未来に向けてアジア系アメリカ人の歴史を語るうえで重要な役割を果たしてきたかを検証します。
ラーニング・プログラム実施のため、以下の日時は「MAMリサーチ009」をご覧いただけません。あらかじめご了承ください。
2022年6月29日(水)17:00~21:00