村上隆の五百羅漢図展

展覧会概要


日本では2001年以来、14年ぶりとなる村上隆の大規模個展 全作品、日本初公開!

《五百羅漢図》(部分)

《五百羅漢図》(部分)
2012年 アクリル、カンバス、板にマウント 302x10,000cm 個人蔵
展示風景:「村上隆の五百羅漢図展」 森美術館、東京、2015年 撮影:高山幸三
(C)2012 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.

 2015年10月31日(土)から2016年3月6日(日)まで、日本国内において2001年以来14年ぶりとなる村上隆の大型個展「村上隆の五百羅漢図展」を開催します。
 村上隆は、現在国際的に最も高い評価を得ている現代美術家のひとりです。ロサンゼルス現代美術館を皮切りに世界巡回した回顧展をはじめ、世界の著名美術館はもとよりヴェルサイユ宮殿やロックフェラセンター前広場などさまざまな場所で大型インスタレーションを展開し、作品の圧倒的なスケール感と完成度の高さにより世界中の人々を驚嘆させてきました。
 村上はその活動において、敗戦後の日本をテーマに、オタクカルチャーやキャラクターと日本の美術史を接続し、「スーパーフラット」という概念を発明するなど、現代美術界に大きな足跡を刻みました。村上がキュレーションを手掛け、世界各地で開催された3つの展覧会は「スーパーフラット三部作」と称され、その最終章となる「リトルボーイ:爆発する日本のサブカルチャー・アート」展(2005年、ニューヨーク)は、同年、全米批評家連盟によるベスト・キュレーション賞に輝きました。
 待望の個展となる本展では、世界の絵画史上最大級と呼ぶにふさわしい、全長100メートルに及ぶ超大作《五百羅漢図》が日本で初公開されます。本作は、東日本大震災後にいち早く支援の手を差し延べてくれたカタールへの感謝を込めて、震災の翌年2012年にドーハで発表されました。この《五百羅漢図》を中心に、改めて日本美術の伝統に取り組んだ新作の数々で構成される本展は、成熟期を迎えた作家の、驚くべきスケールとエネルギー、芸術的達成と新たな次元に触れるまたとない機会となるでしょう。


超巨大絵画、村上隆の《五百羅漢図》を日本初公開!

 村上隆は、2012年の個展に向け日本中の美術大学から大勢のスタッフを集め、200人を超えるスタッフをとともに、全長100メートルに及ぶ巨大絵画を短時間で一気に完成させるという難業に取組みました。中国の古代思想で東西南北を司る四神(青竜[せいりゅう]、白虎[びゃっこ]、朱雀[すざく]、玄武[げんぶ])の名を冠した4面で構成される本作は、宗教と芸術、人間の死や限界をテーマとし、村上の新たな創作の境地を示す記念碑的な作品といえるでしょう。制作直後に海外に渡ったため本展は日本での里帰り展示となりますが、一部未完成だった部分が加筆されたことで、今回の展示は完成版《五百羅漢図》の世界初公開でもあります。
 また、研究資料やスケッチ、作品の下図や指示書など制作に使用された膨大な資料の一部を展示し、村上の工房システムの一端を紹介します。

※五百羅漢とは、釈迦の教えを広めた500人の弟子である聖人たちで、煩悩を滅し人々を救済したとされています。羅漢信仰は平安時代に日本へ伝えられたと言われ、江戸時代以降、各地に彫像や絵画がつくられて、全国規模の隆盛を見せました。近年では狩野一信による《五百羅漢図》(東京・芝、増上寺蔵)全100幅が東日本大震災直後に江戸東京博物館で初公開され、翌2012年にはアメリカでも公開されるなど、大きな話題となりました。

《五百羅漢図》[白虎](部分) 展示風景

《五百羅漢図》[白虎](部分) 2012年 アクリル、カンバス、板にマウント 302x10,000cm 個人蔵
展示風景:「村上隆の五百羅漢図展」 森美術館、東京、2015年 撮影:高山幸三
(C)2012 Takashi Murakami/Kaikai Kiki Co., Ltd. All Rights Reserved.


江戸時代の絵師、長沢芦雪と狩野一信の五百羅漢図も展示

 村上隆の《五百羅漢図》が誕生したきっかけは、雑誌で行われた日本美術史家・辻惟雄との連載「ニッポン絵合せ」でした。辻のエッセイに応えて村上が新作を制作していくという企画の中で、辻は先人達の描いた数々の羅漢図を提示し、村上はそれらに大きく触発されます。本展では、村上の制作にきっかけを与えた辻惟雄との「ニッポン絵合せ」の軌跡と、二人の絵師、長沢芦雪(1754-1799年)と狩野一信(1816-1863年)の五百羅漢図を合わせて展示します。
 長沢芦雪の《方寸五百羅漢図》は、方寸(約3センチ四方)の中に羅漢や動物を微細な描写で表したもので、近年再発見された貴重な作品です。一方、幕末の絵師・狩野一信が約10年の歳月を費やし描いた《五百羅漢図》は、羅漢の修行の様子や衆生を救う場面が全100幅にわたり描かれたもので、その執拗な描写と濃密な色彩は見る人々を圧倒します。村上隆の《五百羅漢図》とあわせて鑑賞することで、江戸時代の絵師と村上の対話を感じることができるでしょう。

*なお期間中に展示替えが行われます。


数々の最新作を通して見る村上隆の現在形

本展では《五百羅漢図》だけでなく、村上隆が既に10年近い歳月をかけて今なお制作に取り組んでいる《宇宙の産声》(2005年−)や《欲望の炎―金》(2013年)等の大型彫刻作品から、本展のために手掛ける「727」や「たんたん坊」といった代表的シリーズの最新作の数々、円相図や金銀の唐獅子図等まで全作品が日本初公開です。日本の文化を背景にアートシーンを魅了しつづける、“世界のムラカミ”の圧倒的な芸術世界をご堪能ください。


村上隆 −日本が生んだ世界的アーティスト−

1962年、東京生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。日本画において初の博士号を取得。制作工房、ギャラリー等を含めたアートの総合商社である有限会社カイカイキキ代表。2008年には『タイム』誌が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」に選出される。ルイ・ヴィトン、VANS、シュウ ウエムラ、六本木ヒルズ等の企業ブランディングのプロジェクトや、カニエ・ウェスト、ファレル・ウィリアムス、ゆず等、ミュージシャンとのコラボレーションでも知られる。近年は映画、映像制作も手掛け、2013年には初の実写映画監督作品「めめめのくらげ」を公開。TVアニメシリーズ『6HP』(Six Hearts Princess)の公開も控えている。

村上隆

撮影: Okazumi Chika


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「村上隆の五百羅漢図展」では、非営利かつ私的使用の目的でのみ撮影が可能です。動画は、携帯およびスマートフォンでのみ撮影できます。


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