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カールステン・ニコライ
《アンチ》
2004年
ポリプロピレン製軽量構造体、サウンドモジュール、テルミン、トランスデューサー、アンプ、光吸収塗料
300×255×255cm
展示風景:シルン美術館、フランクフルト/マイン、2005年
撮影:Uwe Walter
Courtesy: Galerie EIGEN + ART, Berlin / Leipzig and The Pace Gallery


展覧会案内

開館時間

10:00–22:00(火曜日のみ、17:00まで)
*4/25(土)は「六本木アートナイト2015」開催に伴い翌朝6:00まで
*ただし5/5(火・祝)は22:00まで
*入館は閉館時間の30分前まで
*会期中無休

入館料(税込)

一般1,800円、学生(高校・大学生)1,200円、子供(4歳-中学生)600円、シニア(65歳以上)1,500円
*表示料金は消費税込
*4/29以降は、本展のチケットで展望台 東京シティビューにも入館可
*スカイデッキへは別途料金がかかります

前売りチケット発売中

一般1,500円
※表示料金に消費税込
ご購入先:チケットぴあ[Pコード:766-681

アクセス(六本木ヒルズまで)

会場:森美術館 東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー53階

  • 東京メトロ日比谷線「六本木駅」徒歩0分 (コンコースにて直結)。
  • 都営地下鉄大江戸線「六本木駅」徒歩4分。
  • 都営地下鉄大江戸線「麻布十番駅」徒歩5分。

*その他のアクセス情報 >>

お問い合わせ

Tel:03-5777-8600(ハローダイヤル)

見どころ・作品紹介


見どころ

● ポンピドゥー・センター・メスとエルメス財団による初の共同企画展、日本巡回

パリのポンピドゥー・センターの分館として2010年にオープンした、ポンピドゥー・センター・メス。コレクションを持たず、独自の企画展を開催する同館が開館4周年を記念し、エルメス財団との初のコラボレーションにより実現した展覧会が、日本に巡回します。展示は森美術館のために再構成し、日本展ならではの作品も登場します。ポンピドゥー・センター・メスの展覧会の日本巡回は今回が初めてとなります。

● フランスの有名美術館・博物館のコレクションから、名品が多数出展

ポンピドゥー・センターをはじめ、ピカソ美術館、ル・コルビュジエ財団、パリ工芸博物館、ケ・ブランリ美術館、国立自然史博物館など、フランスの名だたる美術館、博物館のコレクションから、本邦初公開品を含む名品を多数出展します。

● 時代やジャンルを越えて、古今東西の「シンプルなかたち」を一堂に展示

古くは先史時代の石器から現代アートまで約2万年の時を隔て、また、美術や工芸、デザインの領域のみならず、考古学、生物学、数学、物理学、機械工学に至るまで、ジャンルを越え、世界各地から集められた「シンプルなかたち」約130点を一堂に展示します。

● 日本展限定、長次郎の黒樂茶碗など日本文化の名品も登場

日本文化に体現されてきた単純で美しいかたちとして、仙厓の円相図、円空仏をはじめ、長次郎の黒樂茶碗や二月堂の根来のお盆など、日本の美術史を彩る名品を展示します。

● 森美術館のための新作

グザヴィエ・ヴェイヤン、エマニュエル・ソーニエ、大巻伸嗣などの日仏の現代アーティストたちが森美術館の広い空間を活かした大型の新作インスタレーションを、また、田中信行、黒田泰蔵も新作を発表します。

作品

長次郎
《太夫黒》
安土桃山時代(16世紀)
黒樂茶碗
7.2×10.9cm
所蔵:北村美術館、京都

グザヴィエ・ヴェイヤン
《光線(トリポスタル)》
2013年
ゴム、ポリエステル、鉄
1000×400×1800cm
展示風景:「ハッピーバースデー、ギャラリーペロタン25周年」トライポスタル、リール、2013年
撮影:Maxime Dufour
Courtesy: Galerie Perrotin
© ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015
D0938
※参考図版

オラファー・エリアソン
《丸い虹》
2005年
アクリルプリズム、鋼、アルミニウム、モーター、三脚、HMI ランプ
サイズ可変
展示風景:原美術館、東京、2005年
撮影:Jens Ziehe
Courtesy: neugerriemschneider, Berlin; Tanya Bonakdar Gallery, New York

仙厓
《円相図》
江戸時代後期(19世紀)
紙本墨画
37×49.4cm
所蔵:福岡市美術館

コンスタンティン・ブランクーシ
《空間の鳥》
1926年(1982年鋳造)
ブロンズ、石灰岩(台座)
132.4×35.5×35.5cm
所蔵:横浜美術館
© ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2015
D0938

アンソニー・マッコール
《円錐を描く線》
1973年
映像インスタレーション
サイズ可変
展示風景:ロシュシュアール現代美術館、2007年
撮影:Freddy Le Saux
※参考図版

ジャン・アルプ
《つぼみ》
1938年
石膏
40.5×19×20cm
所蔵:ポンピドゥー・センター国立近代美術館、パリ
Photo © Centre Pompidou, MNAM-CCI, Dist. RMN-Grand Palais / Adam Rzepka / distributed by AMF
© VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2014
D0938

ルチオ・フォンタナ
《空間概念》
1962年
油彩、カンヴァス
100×73cm
所蔵:滋賀県立近代美術館
Collection: The Museum of Modern Art, Shiga
©Lucio Fontana by SIAE & JASPAR, Tokyo, 2015
D0938

アンリ・マティス
《「ジャズ」9 形態》
1947年
ステンシル、紙
40.8×57.7cm
所蔵:神奈川県立近代美術館

作者不詳
《バード・ストーン》
制作年不明
粘板岩
4.8×10.2×2.5cm
アーレンベルグ・コレクション、スイス

アルブレヒト・デューラー
《メランコリア I》
1514年
銅版画
24.1×18.8cm
Courtesy: Ota Fine Arts

カールステン・ニコライ
《アンチ》
2004年
ポリプロピレン製軽量構造体、サウンドモジュール、テルミン、トランスデューサー、アンプ、光吸収塗料
300×255×255cm
展示風景:シルン美術館、フランクフルト/マイン、2005年
撮影:Uwe Walter
Courtesy: Galerie EIGEN + ART, Berlin / Leipzig and The Pace Gallery

出展作家

ジャン・アルプ
エティエンヌ・ビオティ
カール・ブロスフェルト
コンスタンティン・ブランクーシ
ブラッサイ
長次郎
ル・コルビュジエ(コレクターとして出展)
マルク・クチュリエ
マルセル・ダッソー
アルブレヒト・デューラー
オラファー・エリアソン
円空
ルチオ・フォンタナ
橋本平八
バーバラ・ヘップワース
池大雅
ジャン=バティスト・ロメ・ド・リール
アン・ヴェロニカ・ヤンセンズ
トーマス・ジェファーソン(発案者として出展)
アニッシュ・カプーア
エルズワース・ケリー
クー・ボンチャン
ジェルメーヌ・クルル
フランティシェク・クプカ
黒田泰蔵
李禹煥
ロバート・メイプルソープ
エティエンヌ=ジュール・マレー
アンリ・マティス
アンソニー・マッコール
ジョン・マクラッケン
ヘンリー・ムーア
カールステン・ニコライ
西川勝人
大巻伸嗣
岡田紅陽
岡崎和郎
ガブリエル・オロスコ
シャルロット・ペリアン
アントワーヌ・ペヴスナー
パブロ・ピカソ
マン・レイ
ロベール・ル・リコレ
メダルド・ロッソ
エマニュエル・ソーニエ
仙厓
雪舟
ホセ・マリア・シシリア
カール・シュトルーエ
杉本博司
田中信行
ヴォルフガング・ティルマンス
蔡佳葳(ツァイ・チャウエイ)
グザヴィエ・ヴェイヤン
ノット・ヴィタル

※姓のアルファベット順

セクション

■ Sec.1 形而上学的風景

ル・コルビュジエが浜辺で拾った石やシャルロット・ペリアンが写した木片など、一見無用なオブジェは、美とは何かを私たちに問いかけます。そこには、たんなる素材でありながら同時にかたちでもあるという、絶妙な均衡が存在しているのです。ブラッサイの彫刻にみられる曲線や岡田紅陽が写真に収めた富士山、杉本博司の「海景」は、それを飽くことなく眺めていられるほどの美しさをそなえています。このように、さまざまなオブジェや風景のシンプルな美しさは、私たち自身が見出すものだとも言えるでしょう。

■ Sec.2 孤高の庵

シンプルな美は古今東西において尊ばれ、その静謐さは人々に精神的な拠り所を与えてきたといえます。本章では、グザヴィエ・ヴェイヤンが世界の美について静かに考えるための空間をつくり、その中には、シンプルな美を昇華させたさまざまなオブジェや工芸品——長次郎の黒樂茶碗、根来塗(ねごろぬり)のお盆、円空仏、ポリネシアの枕など、あらゆる時代のオブジェ——が並びます。私たちがこの空間に入り、その生活の美を味わうとき、この場は孤高の庵となることでしょう。

■ Sec.3 宇宙と月

人類が古代から眺めてきた月は、おそらく、人間にインスピレーションを与えた最初のかたちでしょう。絶えず変化する月の光は、数々の神話や畏怖、空想を生み出してきました。月の満ち欠けはエネルギーや生の息吹を表象し、丸を描いた円相は宇宙を表します。月や円相のシンプルなかたちは、自然の中に存在する目に見えない力の表出として私たちを魅了します。仙厓の円相図、李朝の白磁壺、オラファー・エリアソンのインスタレーションは、世界に存在するそのような諸力と一体となり、調和したかたちを生み出しています。

■ Sec.4 力学的なかたち

19世紀末から20世紀初頭にかけての科学技術の進歩は、力学的な原理によって新しいシンプルなかたちを生み出し、芸術家たちを虜にしました。プロペラの美に魅了されたマルセル・デュシャンは、「絵画は終わった。このプロペラに勝るものをいったい誰がつくれるか」と語り、航空力学に触発されたコンスタンティン・ブランクーシは、基本的な線だけで生の躍動を表現する彫刻を生み出しました。本章では、当時の芸術家たちを魅了したプロペラをはじめ、ブランクーシや田中信行の彫刻、空気の流れを表現する大巻伸嗣のインスタレーションなどを紹介します。

■ Sec.5 幾何学的なかたち

幾何学的なイメージは、物理学的、数学的な規則性を表現したものだといえるでしょう。18世紀の結晶学概論や、時空間内の現象を表した19世紀末の現象数理学は、結晶モデルや幾何学模型などの予期せぬかたちを生み出してきました。これらは、芸術の中に抽象芸術以前の抽象的なかたちというまったく新しい価値基準を導入し、芸術家たちを刺激しました。本章では、幾何学模型からインスピレーションを得たアントワーヌ・ペヴスナーや杉本博司、黒田泰蔵、アンソニー・マッコールの作品などを、水晶の結晶モデルや幾何学模型とともに紹介します。

■ Sec.6 自然のかたち

20世紀初頭、生物学の新しい研究テーマとなったのは、生命、自然における植物の成長サイクルや形態形成でした。生物学は細胞や分子のレベルにまで到達し、人間がこれまで目にしたこともない図像やイメージを生み出しました。芸術家はこれらの特徴的な曲線を観察することで、萌芽や流動性にインスピレーションを得た作品を制作するようになったのです。本章では、ジャン・アルプ、エルズワース・ケリー、カール・ブロスフェルト、西川勝人などの作品を通して自然のかたちに焦点を当てます。

■ Sec.7 生成のかたち

豊穣はしばしば、生成や生殖を喚起するかたちによって表現されてきました。宇宙卵、リンガ、妊娠の姿など豊穣や官能を表すかたちは、創造的エネルギーの象徴として崇められてきました。たとえば、男根のかたちをしたリンガは、破壊と創造の神であるシヴァ神の象徴でもあります。19世紀になって初めて、受精や胚形成についての基本原理が明らかになりましたが、古来より芸術家は、こうしたかたちを象徴的なものとして表現してきました。本章では、卵や新生児を想起させるコンスタンティン・ブランクーシの作品、妊娠を表現したアニッシュ・カプーアの作品に加えて、リンガやタントラ・ドローイングなど生成のかたちを紹介します。

■ Sec.8 動物と人間

古代文明には、キクラデス文明の頭部像や、王朝誕生前のエジプトの人体像などにみられるような、人間の身体に関するきわめてシンプルな表象が数多く存在していました。これらの簡潔な表現は、考古学の発掘調査によって19世紀に再発見され、当時の芸術家たちを魅了しました。動物の表象についても同様で、具象的にかたちの再現を試みるのではなく、輪郭だけで躍動感あふれる生命を描き出しました。本章では、キクラデス文明の頭部像や古代エジプトの魚のかたちをした化粧パレット、北米先住民族のバード・ストーンやバナー・ストーンからパブロ・ピカソによる雄牛図、日本の変わり兜、メダルド・ロッソ、アンリ・マティスによる人体像、ノット・ヴィタルの大型の頭像まで、さまざまな生物のかたちを紹介します。

■ Sec.9 かたちの謎

「シンプルなかたち」には、私たちの理解を超えた神秘が宿っているのではないでしょうか。私たちはそこに、謎——何らかの象徴や解読すべきメッセージ——を投影します。たとえば、スタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』に登場する黒いモノリスは、その無機質な表面ゆえに却って我々を夢想へと誘うのです。また、アルブレヒト・デューラーの《メランコリア I》に出てくる多面体、それにインスピレーションを受けて制作されたカールステン・ニコライの黒い多面体の作品も、モノリスにつながる謎を秘めています。さらにエマニュエル・ソーニエの神秘的な細長いガラスのオブジェは、存在の儚さを表現しています。これらの不可解なかたちには、自らの起源を絶えず探し求める人類の秘密が隠されているのでしょうか? それは、すべての始まりの場所、世界のあらゆる姿の隠喩なのかもしれません。