作品に登場するのは、老若男女、映画のヒーローから現代アートスター、インドの神々や動物まで多種多様。描かれた個性溢れるキャラクターの数は、《ここに演説をしに来て》(2008年)だけでも約2000。何度見ても新しい発見があり、1日中鑑賞していても、見飽きることがありません。
絵の中に描かれた望遠鏡は、世界を俯瞰する「マクロな視点」、顕微鏡は日常の細部を見つめる「ミクロな視点」のメタファーです。全体を俯瞰したり、細部に寄ったり、両方の視点で作品を鑑賞すると、作家の世界観を理解できるでしょう。
N・S・ハルシャの絵画には、「地球」や「銀河」など、宇宙に関連したモチーフが多数登場します。マイスールの日常を丁寧に見つめながらも、作家の関心は常に世界、そして宇宙にまで拡がっていることを物語っています。
生き生きと描かれた動物にも、それらにまつわる神話や逸話、意味が込められています。例えばなぜ猿は、空を指差しているのでしょう?その答えを考えることで、N・S・ハルシャの思想やその背景にある文化に触れることができるでしょう。