《さなぎ》 2000年 ポリウレタンパネル、アルミニウム、ポリウレタン塗料 270 × 157 × 120 cm 所蔵: 福岡アジア美術館 Photo Courtesy: Studio Lee Bul Photo: Rhee Jae-yong
言葉を入れ替えて新しい言葉をつくるという意味の「アナグラム」シリーズは、交換可能な部位がさまざまな接合部分で繋がれ、植物や昆虫などを連想させる生物学的な形をしています。言葉をテーマにしたこのシリーズは文学的にも幅広い参照が可能ですが、例えば《さなぎ》は、文字通り昆虫が成虫になる前のさなぎでありながら、ジョン・ウィンダムのSF小説『さなぎ』(1955年)の舞台、核戦争後の世界で、放射能汚染による奇形の動植物、偏倚の人間を排除しようとする社会なども連想させます。