「今年のターナー賞は誰が獲る?」毎年秋、英国の人びとの話題にのぼるのが、ターナー賞のゆくえです。現代美術界で最も重要な賞の1つといわれる同賞の授賞式はテレビ中継され、翌日の新聞で受賞者が大々的に報道されるなど、英国の国民的行事となっています。本展はそのターナー賞の歴代受賞者すべての作品を一堂に集める史上初の試みとなり、英国現代美術の流れをたどりながら、世界の最先端にあるアートの息吹を感じることができる展覧会です。ロンドンのテート・ブリテン*で1984年から開催されている「ターナー賞」は新しい美術の振興を目的とするテート・ギャラリーのパトロン団体、「新しい美術のパトロン」によって1984年に創設。名前は日本でも有名な英国人アーティストのひとりジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775〜1851)に由来しています。絵画、彫刻、写真など既存のメディアに縛られないユニークな賞として年1回、数名のアーティストをノミネート(50歳未満の英国人及び英国在住者が選考対象)し、その作品を展示。最終選考で1人の受賞者を選出しています。
本展で紹介する1980年代の「ニュー・ブリティッシュ・スカルプチュア」から、90年代の「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト」(YBA)、そして2000年代の最新の動向は、過去20余年の英国現代美術の変遷を示すものです。
「ターナー賞」を回顧することで、あなたはきっと、この最も権威ある賞が、最も斬新なアートに与えられてきたことにあらためて驚かれることでしょう。今や国際的な活躍を遂げる各アーティストの受賞当時の作品を中心に展覧会は構成されますが、ウィットに富み、ユーモアに溢れ、知的で、ポップで、衝撃的なそれらの作品群は、今見ても非常にクールで刺激的。現代美術の中心地から、世界へ投げかけられた大きな刺激を再発見することができます。
*英国の国立美術館・旧テート・ギャラリー。1897年開館、2001年改称。「ターナー賞」展は2007年度のみテート・リバプールで開催。
1984 マルコム・モーリー | 1996 ダグラス・ゴードン |
1985 ハワード・ホジキン | 1997 ジリアン・ウェアリング |
1986 ギルバート&ジョージ | 1998 クリス・オフィリ |
1987 リチャード・ディーコン | 1999 スティーヴ・マックィーン |
1988 トニー・クラッグ | 2000 ヴォルフガング・ティルマンス |
1989 リチャード・ロング | 2001 マーティン・クリード |
1990 実施されず | 2002 キース・タイソン |
1991 アニッシュ・カプーア | 2003 グレイソン・ペリー |
1992 グレンヴィル・デイヴィー | 2004 ジェレミー・デラー |
1993 レイチェル・ホワイトリード | 2005 サイモン・スターリング |
1994 アントニー・ゴームリー | 2006 トマ・アブツ |
1995 デミアン・ハースト | 2007 マーク・ウォリンジャー |
テート(旧テート・ギャラリー)は、テート・ブリテン(1897年開館、2001年改称)、テート・モダン(2000年開館)、テート・リバプール(1988年開館)、テート・セント・アイヴス(1993年開館)の4つの館で構成される、英国にある国立の美術館群。古くはヘンリー・テート卿が個人の収集品とナショナル・ギャラリーにある作品を集め「ブリティッシュアートの美術館」として開館したテート・ギャラリーがルーツである。2006年度に4館を訪れた総来館者数は770万人に上る。
MAM SCREENは森美術館で開催中の展覧会に関連するアート映像を上映します。メトロハットの屋外500インチスクリーンやウェストウォークのPDPモニターなど六本木ヒルズ各所で、毎日9:30〜23:30、1時間ごとに上映。 2008年5月から7月まで、「英国美術の現在史展」にちなみ、英国を拠点に活動している若手作家の映像作品を上映します。
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